「アンコンかるた」誕生秘話をきく!―パナソニック インダストリー

アンコンシャスバイアス研究所が監修協力させていただいた「アンコンかるた」について、
パナソニック インダストリー株式会社の藤嶋さんと福田さんにお話をお伺いしました。
―「アンコンかるた」の制作のきっかけを教えてください。
【藤嶋】
「アンコンかるた」制作のきっかけは、「アンコンシャスバイアスについて、全社員が気づき、考える機会をつくりたい!アンコンシャスバイアスに気づくことが、誰もが活き活きと活躍できる職場に繋がる!」という私達の想いからです。当社では、オフィスで働く社員だけではなく、工場など様々な場所で働く社員がいます。全社員が短時間で効果的に学ぶために何か良いアイデアはないだろうか? と模索をする中で、全社員から職場に潜むアンコンシャスバイアスを募集して「あ」~「ん」までの標語をつくろう!五・七・五の標語だと短くて覚えやすい!というアイデアが浮かんだんです。そして、その流れで思いついたのが「アンコンかるた」です。
―制作過程で苦労されたことなどはありますか。
【藤嶋】
私が苦労したのは、標語の作成です。全社員から標語を募集し、社員の皆さんのご協力のもと、「あ」~「ん」までの標語が出そろいました。ただ、せっかくの標語を誰が見ても正しく伝わる良い表現にしたいと思い、アンコンシャスバイアス研究所様に監修をお願いすることにしました。
監修いただく中で、標語を作った社員の想いを大切にしつつ、アンコンシャスバイアスの存在について知っていただくにはどうすればよいか、何度もアンコンシャスバイアス研究所様とやり取りを行いながら調整しました。
【福田】
「標語をいかにわかりやすく絵で表現するのか」にも、とても苦労しました。
使う方には絵を見て標語をイメージして欲しいのですが、それを1枚の絵で表現するのが本当に難しかったです。私たちが理解できても、このかるたを初めて見た人にわかってもらえないと意味がないので、どのような構図やシチュエーションの絵が良いのか、イラストレーターさんと試行錯誤の毎日でした。
―完成までに約1年半もの歳月をかけられたわけですが、
やり遂げられたモチベーションはどこにあったのでしょうか。
【藤嶋】
実は、標語が出来上がった後、標語を元にした「あ」~「ん」まで46個のショート動画の作成も行っていたので、かるたの作成が遅くなってしまったんです。かるたを作るのに多くの時間がかかっているように見えますよね(笑)。これら全てをやり遂げられたのは、「アンコンシャスバイアスの理解は必ず社員の皆さん1人ひとりのチカラになる!」との想いを持ち続けていたからです。これが私の原動力になっていたと思います。
【福田】
私の場合、DEI推進室だけではなく、社員の皆さんに標語を考えていただいたため、「一緒に作り上げている!」という想いが、完成への一番のモチベーションだったと思います。監修を踏まえて修正が必要な場合も、元の標語に込められた想いを大切にしつつ、互いに想いをぶつけあって話し合いを重ねました。
―完成した「アンコンかるた」を、どう活用されていますか?
【藤嶋】
拠点や職場単位で、かるたを実施しています。普通にかるたをするだけではなく、参加者全員が「お気に入りの1枚」を選び エピソードや気づきについて語り合う時間も取っているので、職場内でのアンコン理解に繋がっていると思います。
また、社内のDEI推進月間には、「アンコンかるた」の中から経営層が選んだ「お気に入りの1枚」を選んだ理由を添えて、ポータルサイトで発信するなどの工夫もしています。
昨年はパナソニックグループで開催したDEIに関するイベントで、私たちの「アンコンかるた」を用いたかるた大会が開かれました。
【福田】
実はかるたって、すごく盛り上がるんです。 そのため、最初の2、3文字を聞くと、かるたを取ることに集中してしまうので、標語が頭に残らない。
そこで、かるた遊びを終えたあとに、絵札や標語をみんなで見て、「改めて、あなたのお気に入りの1枚は何でしたか?」と、紹介してもらうようにしました。
すると、「昔は、こういうことがあって、こうだったんだよ!」と熱く語り始める方がいて、こちらも時間が足りなくなるほど盛り上がるんです。
お気に入りの1枚から、1人ひとりの経験、気づきを共有できたり、同じ標語を選んでも全然違うエピソードが出てきて、新しい視点に気づいたり、かるたはアンコンを理解するだけではなく、お互いを知るための良いツールにもなっていると思っています。
―アンコンシャスバイアス研究所の公式サイトで、「アンコンかるた」のご紹介をしたところ、ぜひ使ってみたい、欲しい、どうやったら購入できるのですか?といったお話をいただきます。社内外の反響はいかがですか?
【福田】
他社のDEI推進担当の方とお話する際に「アンコンかるた」をお見せしています。「ちょっとやってみましょうか」と、5分ほど体験いただくと、「これいいですね!ぜひ使いたい、展開してほしい」という嬉しい声をいただくことが多いです。
【藤嶋】
こうした一連の取り組みが評価され、社内の企業価値向上表彰にて銅賞を受賞することができました。本当に「アンコンかるた」作成に協力していただいた社員や関係者の皆様には感謝しかないです。
―おめでとうございます!
【福田】
この賞は社員の投票で決まるので、自分たちの活動が、企業価値向上につながっていると社員の皆さんから思ってもらえていたということが、何よりも嬉しかったです。
―2024年に初開催した小学生向けイベント「ハットニャール博士の研究所」に
「かるたのとびら」としてご参加いただきましたが、いかがでしたか?
【藤嶋】
「私にもこんなことある!」と日常生活の中で、思い浮かんだ話をしてくれた姿がとても印象に残っています。「アンコンかるた」を通して伝えたいことが、小学生にも届いているのだということを実感できた場でした。
また、「リーダーは こうあるべきだと 決めつけず わたしは わたしのスタイルで」という「り」のかるたをきっかけに、「リーダーはみんなを引っ張らないといけないと思っていたけれど、自分らしいリーダーでいいんだ」と話してくれた方がいました。かるたをきっかけに、新たにチャレンジしようと思ってもらえたことがとても嬉しかったです。
【福田】
授業の最後に、「実はこのかるた、大人の声を集めたものなんだよ」とお伝えしたら、「ええっ⁉大人でもこういうことを思うんだ!」と驚いていたこともとても印象的でした。
【藤嶋】
ハットニャール博士の研究所への参加を通じて、小学生の皆さんが自分の言葉で気づきを表現し、前に進もうとする姿に私たちも勇気をもらえましたし、皆さんの成長に少しでもかかわれたことに感謝しています。
―アンコンシャスバイアス研究所は、御社の取組がきっかけとなり、小・中学生から
「アンコンかるた」を募集し、発表しました。ご覧になっていかがでしたか?
【藤嶋】
私たちの「アンコンかるた」がきっかけとなり、小・中学生の皆さんが自分たちの言葉で「アンコンかるた」を作られたことを、本当に嬉しく思っています。
拝見した一枚一枚に豊かな発想やユニークな視点、多様な感性が詰まっていて、とても素晴らしいと思いました。
―印象に残ったかるたなど、ありましたか?
【藤嶋】
どれもステキな作品でした。その中でも私が特に印象に残った作品は、2つあります。
「できること みんな おなじとかぎらない」というかるたからは、1人ひとり違っていいというメッセージが伝わってきて、周りの人にも優しくなれるきっかけになるんじゃないかと感じました。

また、「虹の色 見えるカラーは 人それぞれ」というかるたからは、同じ景色を見ても、同じ言葉を聞いても、また、同じ絵札を見たとしても、とらえ方は1人ひとり違うかもしれない、違いを否定するのではなく、お互いに受け入れて認め合うことが大切だということが伝わりました。

【福田】
どれも良さがありましたが「練習したらきっとできるよ 私にも」というかるたが、前向きで、ポジティブな気持ちになれる標語だな、と とても気に入りました。

―小・中学生がつくった「アンコンかるた」は、小・中学校でご活用いただけるように
PDFデータの無償提供を開始しました。活用のアイディアなどあれば教えてください。
【藤嶋】
授業での活用以外にも、保護者の方と一緒に遊ぶ中で、お気に入りの1枚をご家庭で話し合う使い方も素敵だなと思います。
また、先生方がお気に入りの1枚を選び、選んだ札のエビソードを壁新聞や学級通信で紹介してみるなどはどうでしょうか。年度初めの先生紹介の記事の1つに、お気に入りの1枚があっても面白いかなと思いました。
―最後に小・中学生へのメッセージをお願いします。
【福田】
アンコンシャスバイアスに気づこうとすることが大切だと考えています。気づくことで「これってアンコンかも?!ちょっと頑張ってみようかな!」って思えるんじゃないかと思います。
小・中学生だけではなく、大人にもいろんなアンコンがあるかもしれないので、「どうしてかな?」と気になることがあったなら、振り返ることも大切ですよね。
【藤嶋】
皆さんの未来には、多くの可能性が広がっています。その可能性をアンコンシャスバイアスによって狭めてしまうのは、とてももったいないことです。「これって、もしかして私のアンコンかもしれない!」と、ふと立ち止まって考えてみてほしいと思います。私自身も、これからも考えていきたいと思います。ぜひ皆さんも一緒に考えていきましょう!
―2025年8月1日に開催される「ハットニャール博士の研究所2025」では、
パナソニック インダストリーさんによる「かるた」のとびらが今年も開催されます!
今年は、どんな出会いがあるのか、私たちも楽しみです。今日は有難うございました。
◆パナソニックが「かるた」を開発⁉――アンコンシャスバイアス周知への「想い」https://recruit.industry.panasonic.com/story/1251/