|アンコンシャスバイアスとは?
アンコンシャスバイアス(unconscious bias)
◆アンコンシャスバイアスとは何か?
私たちは、何かを見たり、聞いたり、感じたりしたときに、実際とは別に、「無意識に“こうだ”と思い込むこと」があります。
これを、アンコンシャスバイアスといいます。
日本語では、「無意識の思い込み」「無意識バイアス」「無意識の偏見」などとも表現されています。(※1)
無意識がゆえに、完全になくすことはできないものの、「アンコンシャスバイアスに気づこう!」と意識することで、モノの見方が変わったり、とらえ方が変わったり、他の可能性を考えてみようと思えたり、一歩踏み出してみようという勇気がもてたり、一歩踏みとどまってみることができたりといったように、様々な変化がおとずれます。
◆アンコンシャスバイアスは日常にあふれていて、誰にでもある
例えば、このようなことを思うことはありませすか?
血液型で、
相手の性格を想像することがある
「介護中の社員」と聞くと、女性のことを思い浮かべる
「乳がん」と聞くと、女性を思い浮かべる(男性を思い浮かべない)
「親が単身赴任中」ときくと、父親を思い浮かべる(母親の方ではなく)
「男らしく」や「女らしく」と、思うことがある
「日傘」は、
女性がするものだと思う
まわりが頼む飲み物にあわせて、つい「私も同じので」と言うことがある
年齢、学歴、職業等の属性で、
相手を見ることがある
挑戦する前に、「私には、きっと無理」と、思うことがある
「前例」が気になり、一歩踏み出せないことがある
評判や噂で、
相手をみることがある
「普通は●●だ」「たいてい●●だ」という言葉を使うことがある
いかがでしたか?
「私は、どれもそう思うことはなかった」という方もいたかもしれませんが、ここに記載していることは、日常や職場にあふれているアンコンシャスバイアスのごくごく一例です。私たちは、「過去の経験」や「見聞きしたこと」に影響をうけて、無意識のうちに(知らず知らずのうちに)、偏ったモノの見方をしていることがあるかもしれません。
◆アンコンシャスバイアスの何が問題となるのか?
日常にあふれていて、誰にでもあるアンコンシャスバイアス。
アンコンシャスバイアスに気づかずにいると、それによる「判断」や「言動」が、ときに、相手を傷つけてしまったり、自分自身の可能性をせばめてしまったり、イノベーションの芽をつんでしまったりといったように、ネガティブな影響をおよぼすことがあるため注意が必要です。
--私たちは同じモノをみていても、解釈は人それぞれ
同じモノをみていても、人によりその「解釈」が様々ということがあれば、
同じ言葉であっても、人よりその「感じ方」は様々ということも多々あります。
例えば、
「真面目ですね!」といわれて、あなたはどう感じますか?
「若く見えますね!」といわれたらどうでしょう?
嬉しいと感じる人もいれば、
ショックだと感じる人もいれば、
特に何も思わない人もいれば、
「誰に言われるか」による、
「時と場合」による、
といったこともあるかもしれません。
同じ言葉であっても、受け止め方は人によって、様々です。
「自分が言われてうれしいからといって、相手もうれしい」とは限りません。
--「十把一絡げなモノの見方」の影響
ひとつここで、考えてみていただきたいことがあります。
「“親が単身赴任中です”と聞くと、まずは「父親」を思い浮かべる」
というアンコンシャスバイアスに気づかなかったら、どんな影響や問題に発展すると思いますか?
--考えられる影響例(一部)
単身赴任の母親に対して「え?母親なのに単身赴任?お子さん、かわいそうね…」といった言動が、母親や、子ども、ご家族を傷つけることがあるかもしれません。また、性別で働き方や任せ方を決めつけてしまうことにより、人事面での影響、個人の成長やキャリア形成に影響を及ぼすこともあるかもしれません。
「影響はないように思う」「分からない」という方もいたかもしれませんが、
「単身赴任という働き方を選択するのは、普通、父親だ」というアンコンシャスバイアスに気づかずにいると、次のような「判断・言動」につながり、ネガティブな影響に発展する可能性はゼロではないでしょう。
◆ひとりひとり、その時々と向き合うことの大切さ
ここまで、ごく一部の事例をもとに、アンコンシャスバイアスとは何か?気づかなかったら何が問題となりそうか?ということについてお伝えしてきましたが、大切なことは、「アンコンシャスバイアスに気づこう」とすることです。
「本当は、ひとりひとり違うのに」
「本当は、その時々でも違うのに」
私たちは、どこか無意識に「こうだ」と、決めつけたり、押しつけたりしていることがあるかもしれません。
◆キャリア(生き方)にも影響がある
アンコンシャスバイアスは、相手に対するものだけでなく、「自分自身に対するもの」もあります。自分自身に対するアンコンシャスバイアスは、知らぬ間に、生き方、あり方、働き方など、私の人生、私のキャリアにも大きな影響をしらぬまにあたえているかもしれません。
「どうせ、ムリ」
「きっと、ムリ」
「私なんて・・・」
「だって、普通は、きっと・・・」
もしもこんな言葉が頭をよぎったら、
「それは、私のアンコンシャスバイアスかも?」と、立ち止まることで、一歩踏み出すことができるかもしれません。
◆アンコンシャスバイアスの影響範囲は非常に多岐にわたる
アンコンシャスバイアスの影響範囲は多岐にわたります。
つまり、アンコンシャスバイアスに向き合い続けることで「可能性がひろがる」ともいえるでしょう
●ダイバーシティ&インクルージョンの推進のカギとなる
●新しい視点・商品がうまれる等、イノベーションに繋がる
●キャリアにおける可能性が広がる
●コミュニケーションのズレに気づく
(上司⇔部下、対お客様、保護者⇔子、教員⇔児童・生徒、パートナー関係等)
●ジェンダー平等の推進につながる
●人権啓発、ハラスメント防止につながる
●広告・商品名などでの炎上をふせぐ
●安全衛生の向上につながる
●医療過誤をふせぐ
●がん治療と就労における課題解決の糸口となる
(3,000名をこえる「がんと仕事の意識調査」はこちらより)
●防災・減災につながる
●「子どもたち」の未来の可能性が広がる
(道徳やSDGsなど小・中学校の授業でアンコンシャスバイアスを提供)
ここに記載したことは、ごく一部の事例となりますが、様々な分野の方々と、様々な文脈でご一緒するなかで、
「アンコンシャスバイアスを知ってよかった!」は、実に多岐にわたることを感じています。
◆ひとりひとりがイキイキと活躍するために
「100人が同じでも、101人目は違うかもしれません」
「100回の結果が同じでも、101回目は違うかもしれません」
「過去と、今と、未来とでは違うかもしれません」
“わたし”も含めたひとり一人がイキイキとする社会をめざして、
「これって、私のアンコンシャスバイアス?」
「これって、アンコン?」(※2)
が合言葉となり、ひとりひとりその時々と向き合うことを大切に。
そんな社会に一歩でも、二歩でも近づいてゆければと思っています。
「
(注1)
アンコンシャスバイアス研究所では、「無意識の偏見」という意訳を採択していません(使いません)
日本語意訳が必要なときは「無意識の思い込み」を採択しています。
その最も大きな理由は、アンコンシャスバイアスは、相手に対するものだけでなく、「自分自身」に対するものもあるからです。アンコンシャスバイアスに気づくことは、自分自身の可能性を広げることにも繋がります。「アンコンシャスバイアスに気づいてよかった!」が広がるためにも、アンコンシャスバイアスに日本語意訳をそえる場合には、「無意識の思い込み」を使っていただくようお願いしております。
(注2)
アンコンは、「アンコンシャスバイアス」の略として、使っています。
合言葉のように気軽に振り返ってほしいとの願いをこめて、「これって、アンコン?」を合言葉にしてみてくださいとお伝えしています。
「